ノートルダム大学夏季講座 体験談1

体験談1 2012年度参加  文学部2年 M・Uさん

【一日の様子】

2週間大変充実していた。一番感じるのは人に恵まれたということだ。ノートルダム大学が位置するサウスベンドは田舎の方であり、人々はおおらかでこちらの言うことに耳を傾けてくれる。皆気さくで、

“You’re welcome!”

という言葉を何回も聞いた。日本では知らない人とはあまり話さないが、スーパーでの買い物客やレストランの店員などが気軽に話しかけてくれる。“Enjoy your visit!”との温かな言葉が嬉しかった。誰もが営業スマイルではなく心からの笑顔でこちらと向かい合ってくれ、サウスベンドの人々の心の豊かさを感じるとともに豊かさのお裾分けをいただいた。「一期一会」「袖振り合うも多生の縁」などのことわざが日本にはあるが、日本よりもアメリカの方がこれらのことわざをよく体現していたのだった。

2週間のスケジュールとしては、おおむね午前は授業を受け、午後は様々なところに連れ出していただいた。午後に鑑賞・体験したものは、ブルーマン、フランク・ロイド・ライト、アーミッシュなど私が関心を持っているものばかりで、長年の希望が2週間のうちに叶い夢のようだった。バラエティーに富んだスケジュールによりたくさんのものを見、体験できたことは非常に大きい。多種多様な人々が住んでいるアメリカは多様性に富んだ国だと理解できた。

多様性を示す一つの例として、移民社会だということが挙げられる。これは様々な人と触れ合う中で実感されたことだ。現地スタッフの方も、アメリカ人は皆他国から移民としてやって来たのだということを言っていた。皆背景に他国からの文化を持っており、アイデンティティとして自分のルーツや祖先の歴史を話してくれた。日本人はほぼ単一民族で同じことが当たり前だが、世界の様々なところから集まった人々で構成されているアメリカでは事情が全く逆だ。違うことが当たり前な社会は自由で懐の深さがあった。同時に、それぞれが異なる存在だということは、自分がどのような人間なのかを表現して伝えることが必要になる。アメリカ人の話し慣れている様子や伝える力には目を見張った。

 

問題点にも気がついた。ノートルダム大学の学生や教授は白人が多い。カトリックの大学ということも一因だが、これだけの大学に通うことができるのは教育費を負担できる上流階級だ。人種差別をなくそうと幾多の努力を続けてきたアメリカだが、やはり白人にステータスがあり、ヒスパニックや黒人は低い地位に留め置かれるという社会構造も目の当たりにした。

現地に滞在しアメリカの良い点も悪い点もより理解できるようになったおかげで、日本についても自然と比較・相対化するようになった。ほぼ単一民族で構成され、海によって外界から離されている日本という場の特殊性、またそのために世界から取り残される危険性を感じるとともに、問題が比較的少なく平和的であるという特長も発見した。これらのトピックは授業のディスカッションで取り扱ったことでもある。授業ではアメリカのことのみを学ぶのだと思っていたが、日本を見つめ直す機会もあり、皆の意見を聞き共有できたのは貴重な体験だった。このように恵まれた機会を与えて下さった全ての方に感謝したい。

   
 (大学内の様子)                                        (シカゴの街の様子)

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