所長メッセージ

慶應義塾大学国際センターへようこそ。
 
慶應義塾が1890年に大学部を開設した際、福澤諭吉は当時のハーバード大学総長チャールズ・W・エリオットに協力を求め、エリオットの推薦により三名の主任教師を迎えました。福澤はまた、1899年に教員海外留学制度を設置し、教員の派遣を行っているほか、外国人留学生も積極的に受け入れました。本塾はこのように、創設当時より豊かな国際交流によって、豊かな教育や研究が達成されることを理解してきました。
 
現在の本塾における国際交流は、第二次世界大戦終了直後から始まっていたことが、『回顧と展望——慶應義塾大学国際センター設立20周年記念』(1984 年)に記されています。1945年9月にGHQによって日吉校舎が接収されましたが、その校舎返還交渉が戦後の本塾における「国際交流」の始まりであったと説明されています。もともとは返還事業のために設置された「渉外室」が「外事部」となり、国際センター設立へと繋がっていくことになりました。ここで興味深いのは本塾においては「交渉」というかたちで国際交流が始まったという点です。日本語の「交渉」とは、もちろん話し合うこと、かけあうことを意味しますが、同時に人と人の結びつきも意味します。ここに、本塾の国際交流の基盤があるといえるでしょう。
 
本塾国際センターは1962年に設置され、まもなく60周年を迎えようとしています。1972年にアメリカのウエスタンミシガン大学との学生交換プログラムが開始されて以来、現在ではブラウン大学、ダートマス大学、ジョージタウン大学を始め、キングス・カレッジ・ロンドン、エジンバラ大学、パリ政治学院、ベルリン自由大学、延世大学、復旦大学、シンガポール国立大学、シドニー大学など、世界各国に400を超える協定校を有し、毎年多くの学生が海外に飛び立っています。また、慶應で学びたいという留学生も年々増加しています。夏期および春期の短期プログラムも徐々に数を増やし、現在はケンブリッジ大学ダウニング・コレッジをはじめとしてヨーロッパ、アメリカ、アジアの大学でのプログラムがあります。この他にも、国際的なイベントへの参加や、Virtual Student Exchangeといったオンライン・プログラムなど、国境を越えた交流の場を当センターは提供しています。
 
国際センターでは、海外で学びたいという皆さんに、その機会をできるだけ多く提供できるよう、また日本で研究を希望される海外からの留学生や研究者のみなさんが、慶應で実りある時間を過ごせるよう、心から応援しています。
 
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国際センター所長
文学部教授
大串 尚代