ケンブリッジ大学ダウニング・コレッジ夏季講座 体験談18

体験談18 2024年度参加 薬学部3年 M・Hさん


【授業について】

イギリスに着いた次の日にエッセイと面接が課されました。エッセイのトピックは「ケンブリッジの第一印象」でした。面接では、ケンブリッジの卒業生2名と終始なごやかな雰囲気の中で対話しました。「イギリスに来る機内ではどのように過ごしていましたか?」、「なぜこのプログラムに応募したのですか?」などの比較的簡単な質問から、「人類が直面している数ある問題の中で最も深刻だと思うのは何ですか?」、「日本の政府はどのように構成されていますか?」といった難しい質問まで飛んできました。このエッセイと面接の結果に基づいて1週目のクラス分けが行われました。

1週目は、効果的なエッセイの書き方やプレゼンのやり方、ケンブリッジの歴史などについて学びました。このとき担当してくださった先生はケンブリッジの卒業生で現在は俳優として活躍されている方でした。時折ユーモアを交えながら授業してくださって、楽しみながら勉強することができました。1週目の最後にはクラス全員の前で1人ずつケンブリッジに関するプレゼンをしました。私は慶應のボート部に入っていてケンブリッジもボート(Rowing)が有名なので、ケンブリッジにおけるRowingの歴史に触れつつプレゼンをしました。

2週目以降は、Strandごとにわかれて授業がありました。私のStrandはHealthcare and Biotechnologyだったのですが、授業の内容は生物学や薬の開発段階などに関することで、慶應の薬学部で学んでいることとかなり共通している部分があるなという印象を受けました。2週目では生物学関連のエッセイが課され、かなり専門的なところまで踏み込む必要がありましたが、先生やTAのご協力もあり無事に書き上げることができました。

3週目では4人1グループでのポスター作成とプレゼンが課されました。ポスターのトピックはSDGsで、プレゼンのトピックは「製薬会社を立ち上げたと仮定して、画期的な新薬を考案する」というものでした。それまでに学んだことを生かしながら、グループ内でたくさん話し合って難しいトピックに取り組みました。3週目のプレゼンはStrandごとではなくプログラム参加者全員の前で行わなければならなかったので緊張しましたが、終わった後は達成感がありました。

【平日の過ごし方】

1人1部屋だったので適度に1人の時間も確保することができ、何かあったときは近くのの友人が助けてくれたので、快適な生活を送ることができました。

平日は1日3食とも大学から提供されました。主にホールでビュッフェ形式の食事を取りましたが、何度か夜ご飯がバーベキューやキッチンカーのお弁当になることがありました。「イギリスの食事はあまりおいしくない」と渡航前によく聞いていましたが、どれもおいしかったです。

授業の合間には十分な休憩時間があったので構内を散歩したり自室に戻って仮眠したりしていました。夕方以降も自由時間が十分にあり、課題に取り組んだり街を散策したりしました。また、日によってはTAが企画してくれたナイトアクティビティがありました。ブリティッシュパブに行くというイギリスならではの体験ができたり、構内に臨時で設置されたカラオケルームで洋楽を歌ったりと、TAおよび他の参加者たちと楽しい思い出をたくさん作ることができました。

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ホールで取った食事はどれもおいしかったです。

【休日の過ごし方】 
休日は計4日あったのですが、最初の1日はケンブリッジの観光をして、残りの3日はロンドンに行きました。(ケンブリッジの街の様子については後述します。)

ロンドンまでの行き方や電車の予約方法、観光に便利なアプリなどを1週目にTAから教わっていたこともあり、スムーズに観光できました。バッキンガム宮殿や大英博物館などの世界的に有名な観光スポットは渡航前に予約してから行きました。また、休日に限らず外出の際は入念にスリ対策していました。パスポートやお財布は体の前に持ってこれて体に密着するボディバッグに入れていました。スマホはストラップを付けて斜めがけし、マップを開きながら歩くときなどにもスリの標的にならないようにしていました。

ロンドンの地下鉄は東京と同じくらいの高頻度で運行されているため便利でしたし、駅構内の案内も丁寧なので乗り換えで戸惑うことはなかったのですが、休日2日目にハプニングがありました。その日は日曜日だったので翌日に授業を控えている状況だったのですが、ケンブリッジに戻る電車がレールの故障により18時頃から軒並みキャンセルになっていたのです。パニックに陥っていた私たちを救ってくれたのがTAの皆さんでした。連絡ツールで的確な指示を出してくれて、唯一機能していた迂回ルートの乗り換え駅まで駆けつけてくれたり、迂回ルートの電車に乗り遅れた参加者のためにタクシーを手配してくれたり(私も乗り遅れました)、ロンドンにいた私たちのところまで来てくれて一緒にタクシーを待ってくれたりと、本当に心強かったです。

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バッキンガム宮殿は夏の間だけ内部も見学できます。

衛兵交代の日に行ったためとても混んでいました。

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テムズ川クルーズにも参加しました。
船の上から間近にタワーブリッジを見ることができました

【ケンブリッジの街の様子】

初めて街を散策したとき、一気にケンブリッジの虜になりました。レンガ造りの伝統的な建物が多く、どこを切り取っても絵になります。街にはケンブリッジ大学のグッズが売られているお店がいくつかあり、そこでお土産を買っている人が多かったです。大学から歩ける範囲内にスーパーや飲食店も充実していて、日用品の調達や外食にも困りませんでした。また、パンティングというケンブリッジで有名なアクティビティがあり、街に点在している有名な観光スポットを現地の方の解説付きで船の上から見れるので、ぜひ体験してみてほしいです。

ロンドン以上に治安がよく、落ち着いた雰囲気の中で勉強も観光も楽しむことができました。

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レトロな街並みに魅了されました。

【総じて】

ケンブリッジ大学で授業を受けるということは、この先の人生で二度とできないであろう非常に貴重な経験だったと感じます。先生方は、ポジティブかつ的確なフィードバックをくださりました。また、Healthcare and Biotechnologyの先生がおっしゃっていた、「母国語ではない英語を使えるというのはすごいことだから自信を持って」というお言葉が特に印象的でした。これからは英語が好きな日本人として、外国で重視されることの多い「自信」と日本で重視されることの多い「謙虚さ」を上手に両立させていけたらと思っています。

この留学で、それまで知らなかったことを吸収していく過程に楽しさを覚えたり、それまで見ていた世界との違いを体感して驚いたりなど、心がたくさん動かされました。夢だった留学を憧れのケンブリッジで叶えることができてまだ夢の中にいるような感覚ですが、今回学んだことをしっかり咀嚼して今後の学びに還元していきたいと思います

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帰国前日にいただいた修了書を持って写真を撮りました。

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