ケンブリッジ大学ダウニング・コレッジ夏季講座 体験談17

体験談17 2024年度参加 文学部3年 K・Tさん


【動機・事前準備】

 私は英語学が専門です。が、その割には英語圏の国に、いやそもそも外国に行ったこともありませんでした。そこで英語の本場たるイギリス、しかも世界的名門大学のケンブリッジ大に留学できる機会があるということで嬉々として応募しました。

 事前準備についてですが、イギリス英語を少し勉強しました。日本の英語教育は主にアメリカ英語で行われていますので、綴りや語彙選択、そして発音が異なるイギリス英語について少しは知っておいた方がいいかもしれません(たとえばscheduleやadvertisementなどの発音は英米間で信じられないくらい違います)。実際に現地の空港に着き、エレベーターのところに'lift'('elevator'でなく)と書いてあって、英国に来たことを実感しました、ただし、こういったことに興味津々なのは英語が専門の私くらいで、他の参加者に話しても「そもそも英語って英米で違うの?」という程度の認識でしたが。

【現地での生活】

i. 気候・天候・食事等

 イギリスは涼しいです。長袖の服を持っていきましょう。基本的には心地いい涼しさですが、たまに朝など摂氏12度くらいまで冷え込む日もあり、寒かったです。そんな寒暖差のせいか、最終週あたりに体調を崩している人も散見されました(疲れなどもあるでしょうが)。また、天候は曇りや雨である割合が高いです。青空が見られるのは幸運なので、そういう日は外の写真を積極的に撮りましょう。雨はだいたい霧状で、突然降って突然やみます。折り畳み傘は必携です。

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(晴れの日のキャンパス)

 最後に食事ですが、英国の食事はお世辞にも美味しいとは言えません。平日は、朝昼晩と学校の食堂が使えますが、よくわからない料理を大量によそられて困惑します。とりあえず、得体の知れないものを雑にオーダーしないことです。ただ、朝食で毎度出ていたチョコ入りのパンだけは素直に美味しかったです。現地のスーパー等で軽食やお菓子なども調達しましたが、そちらではいくつかお気に入りのものを見つけてリピートしました(物価は高めですが)。学校から徒歩10分くらいの市場にMarks & Spencerという有名なフランチャイズ店があり、そこで質の高い衣類や食品が手に入るのでおすすめです。
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(Marks & Spencer)

ii. 平日の生活

 朝の8:30から朝食(来る来ないは自由です。だんだん出席率が低くなります)、9:30-12:45が午前の授業、昼食を挟んで14:00-17:00が午後の授業です。それぞれ途中で30分の休憩時間があります。これがなかなかありがたく、外を散歩したりして気分転換するのに最適です。また授業時間も割とルーズで、少し早く終わることもよくありました(長引くことはないので安心してください)。授業が終わると18:30から夕食があり、その後はフリータイムです。夜はイベントがあったり、TAさんが企画したレクがあったりもしますが、日中の活動もそれなりに疲れますので無理に参加する必要はないです。特に最初の週などは疲れ果てますので、飛ばし過ぎに注意しましょう。先ほどもちらっと述べましたが、グループ発表がある最終日の朝から発熱している人も中にはいました。現地での体調管理は大事です。

iii. 休日の生活

 週末はロンドンやパリへ観光に行く人たちが多かったですが、私はこれといった遠出をせず、ケンブリッジの街を散策する以外は寮でのんびりしてました(ケンブリッジだけでもそれなりの観光になりますし)。平日はなんだかんだで余裕がないので、ゆっくりするのも体力の回復になります。学校の食堂は空いていませんので食事については外食するか、何か買ってきて食べるかです。私は持参したサトウのごはんを主食にし、おかずは現地の惣菜を調達してオーブン調理しました。調理機器は寮にありますが、オーブンの使い方が分からず、悪戦苦闘しました。ネットで機種名を検索し、説明書(もちろん英語)を読んで、なんとか使い方を会得しました。ロンドンからの帰りの電車が止まるのに比べれば、小さなトラブルですが。

【英語について】

 現地で英語が不自由なく使えるか、というのが留学における最大の心配事だと思います。私は英語にはそこそこの自信がありました。現地でも、こちらの言いたいことを伝えたり、先生の話す英語を理解することについては問題なくできました。しかし思わぬ困難もありました。それはTAさんが話す高速の英語です。

授業やその他全般のサポート役として、ケンブリッジ大の卒業生や現役学生がTA(Teaching Assistant)として数人ついてくれます。私が取っていたInternational RelationsのTAさんは2人いて、1人は穏やかで適度なスピードで話すため聞き取りやすかったのですが、もう1人が信じられないほど早口でした。内容はぎりぎり把握できますが、一字一句聞き取るのはまず不可能です。特に大変だったのが、各講義のあとにTAさん主導で行われるワークショップでした。授業の内容を踏まえていくつかの問題について議論するといった形式で、質問文はプリントにあるので事前にわかっています。ただ、TAさんからその場でトリッキーな新しい質問が飛んできます。おまけにイギリス英語ではDo you~のような疑問文で文末のイントネーションが上がらず、平叙文との聞き分けがつきにくいです。そのため、何か質問されているのに、そもそもそのことにすら気づかないといった事態も発生しうるのです(バトル漫画で喩えると、斬られたのに早すぎて気づかない敵キャラみたいな)。ただ、わからなければ聞き返せばいいだけですし、基本的にTAさんは親切で優しいので、心配することはありません。

最後は英語の話というよりTAさんの話でしたが、苦労したらした分だけ英語力に磨きがかかると思うので、そういった意味でも本プログラムは良い機会になるでしょう。

【おわりに】

 まだまだ書きたいことはありますが、そこは他の参加者にお譲りして私はこの辺で筆を置きたいと思います。とても体験記では語りきれないほど、ここでしかできない体験に満ち溢れたプログラムでした。英語に興味がある方も、イギリスに興味がある方も、ケンブリッジに興味がある方も、とにかく何らかの関心や目的を持って参加すれば、きっと想像以上の収穫があるでしょう。迷っているなら、応募してみることをお勧めします。

【おまけ】
 キャンパスの木の上にリスがいました。一眼カメラで撮った写真になります。

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   (大学内にいたリス。早朝の散歩中に撮影)

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