オックスフォード大学リンカーン・コレッジ夏季講座 体験談10
体験談10 2015年度参加 経済学部3年 T・Nさん
【一日の過ごし方について】
ディベートの試合が9時半からあり、朝食をとってからその準備をみんなでしました。ディベートは、一週目は中世イギリスの歴史をテーマとし、「イングランドはカトリックの国か」「黒死病は良いことか」などを議論をしました。二週目は主に17世紀、「Civil Warは宗教問題が招いたものかどうか」など興味深い論題でした。ディベートはチーム戦で、一人三分のスピーチを2対2で四人が行い勝敗をオーディエンスが決めます。ここで重要なのが、いかに聴衆に自分のアーギュメントを納得させられるかということ。そのためには、人の心に残る印象的なスピーチをする必要があります。2週間でこの表現力を磨くべく、毎日ディベートの試合を重ねていきました。また、この準備をTA(Teaching Assistant)ひとりと四人の慶應生で行うため、お互いの中が日々深まっていきました。
ドラマの講義は昼食後の午後から行いました。演劇は一週目に「お気に召すまま」、二週目に「ヴェニスの商人」を演じました。「お気に召すまま」はシェイクスピアを代表する喜劇中の喜劇で、演じていてすごく幸せな気持ちになりました。一方、「ヴェニスの商人」は少しシリアスな感じもありつつ、喜劇に仕上がってます。シャイロックは結構重要な役で、本番で見たシャイロックはすごい仕上がりで感動しました。ドラマは1週間ごとにチームが組まれてTA一人に慶應生が四~五人ついて活動し、グループごとに発表するので、ディベートと同様仲が深まります。僕は2週連続で才色兼備のTAと同じグループですごい刺激をもらいました。オックスフォード大学の学生の活力、知力、人間力はすごかったです。発表にむけて台本を覚える作業、みんなで個々の表情、動き方を確認するなど多くの時間を共有し、本番を緊張と楽しみが入り混じった気持ちで迎えます。僕は緊張が大きかったですね。でも、みんなの演技を見て、「こいつ、こんなに長いセリフを覚えてる!」「このタッチストーンおもしろい(笑)」とか感じて自分も頑張ってこの演技をしっかり成功させたいという気持ちで演技に臨めました。
最後に、実際にシェイクスピアの劇をLondonのGlobe SeaterとStratford(Shakespeareの故郷)で見に行きました。臨場感がすごく、本場の劇を見ることができるのはこのプログラムの醍醐味の一つかなと思います。
【課外活動について】
みなさんはCotswolds(イギリス一美しい村と言われる)やロンドン観光を堪能していましたが、僕はその波に乗り切れず、二週目の土曜日にイングランド・プレミアリーグを観てきました。サッカー好きには、イングランドはたまらない地ということで、ロンドンに本拠地を置くチェルシー、フルハム、トッテナムのスタジアムをそれぞれ観光しました。
一方で、オックスフォードには教会や博物館がたくさんあり、一日見ても飽きないので、ぜひ色々なところにいってみるのがおススメです。僕はTAとご飯を食べる機会が多く、オックスフォードのお店に3回くらい連れて行ってもらいました。その度に自分の英語力のなさを痛感するとともに「もっと、喋りたい!」という気持ちが強くなるんですね。この気持ちは日本に帰った今でも持ってます。ご飯もおいしいものが多かったです。とにかく、Free DayやFree Timeはみんなとの仲がさらに深まり、楽しい時間を共有することができるのでリラックスできます!!また、オックスフォードで有名なレジャーとして、Puntingという小川をボートで遊覧するものがあるのですが、最高でした。ピクニックを兼ねて、オックスフォードの自然を感じながらプログラムも終盤だったので、この町と別れを告げるのが寂しい気持ちになりました。
【最後に】
金曜日の演劇の本番が終わると、その後はいつもより大きな食堂でフォーマルな格好をまとい、会食をしましたが、食事会の先生やTAのスピーチも非常に心に響いて、日本に帰ってきてもその言葉は胸にしまってあります。TAは、自分たちと同じ年代なのに堂々と大勢の前で素晴らしいスピーチをしていて、感動するとともにつくづくすごいと思いました。日常でも、ドラマやディベートの活動でつきっきりで指導してくれるのですが、この人たちの引き出しの多さ、知的好奇心の高さ、成功や勝ちを目指して努力しようとする姿勢には胸を打たれ、同世代として本当に尊敬します。世界で活躍する大学の学生は学力だけでなく、人間的にも生活面でもこうも優秀なのかと思いました。自分もこういうふうになりたいという思いと負けてられないという思いが駆り立てられました。本当に5人のTAなしでは全く成り立たない、プログラムだったので、感謝という言葉ではくくりきれないほどです。彼ら彼女たちの存在が、私の今後の人生にも影響を与えると今感じています。
また、プログラムを担当して下さったNeil先生には非常に感謝しています。彼を一言で表すと、パワーにあふれていて常に楽しそうにしていらっしゃる方であり、また、非常にKindな方でもあり、彼の笑顔を見ると安心することができました。先生は「Keep energy」という言葉をよく仰っていましたが、ディベートでもドラマでも全力でぶつかって、積極的にenergeticに自分を表現することが求められました。二週間Neil先生のもとで大きな目標を達成するべく二つの活動に取り組んだことで、本気でやって最大限のパワーを発揮すれば必ず自分に大きなものが返ってくるということを学べた気がします。歴史を教えてくれたオックスフォードの先生方にも、知的好奇心をくすぐるレベルの高い授業を提供していただき本当にありがとうございました。
そして何より、このプログラムを一緒に共にした慶應の仲間たちには感謝しかありません。つらいこともあったかもしれないけど今ではそんなの忘れるくらい楽しい思い出しかないです。チームワークを通してみんなで大きなことを成し遂げる、表現することを通して聴衆や観衆に何かを伝える、こういったことの難しさと楽しさを感じました。参加すれば、自分の中での何かしらの変化が感じられると思います。それは、やはり自分だけでなく、本当に頑張ろうとする人とそれを支えてくれる最高のサポーターがいるからではないでしょうか。お世話になった全ての人々に感謝の意を述べて、僕の体験記を終わりにしたいと思います。Thanks so much!!!