パリ政治学院春季講座 体験談12

体験談12 2018年度参加 法学部1年 H・Hさん

【はじめに】

私は高校生の頃から、大学生のうちに半年から1年にかけて長期留学したいと考えていました。といっても、帰国子女であるわけではなく、カナダに2週間ほど滞在したことがあるぐらいだったので、自分の実力を知るためにも短期留学をしてみたいと思いました。これが、私がこのプログラムに参加した理由です。さらに、自分は政治学科の学生として政治学を1年間学んできて、国際政治を海外の視点から学んでみたいと思い、パリ政治学院春季講座を選択しました。第二外国語でフランス語を選択していたこともあり、生きたフランス語に触れてみたいと思ったことも大きな理由です。

上で述べた通り、正直に言ってしまうとお試しのような気分でこのプログラムに参加してしまったのでした。現地で実際に授業を受けたり日常生活を送ったりしていくうちに、自分のレベルの低さに打ちのめされていきました。知識が足りないばかりでなく、語学力も十分ではなかったのです。そんな自分を情けなく思いました。また、同プログラムに参加していた他大学の人たちの知識の豊富さ、学習意欲の高さに、大いに刺激を受けました。

ここまで読んで、自分には敷居が高いと恐れさせてしまうかもしれませんが、そんなことはありません。少しでも興味があるなら、レベルの高い授業に積極的に参加して努力する意義は大いにあると思います。私自身、このプログラムを通して、自分には足りない部分がたくさんあることに気づくことができ、とても貴重な経験をしたと感じています。日本にいるだけでは決して気づけなかったことをたくさん知ることができました。

【パリ政治学院での学び】

・EUについての学び、エッセイ課題

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EUをめぐる歴史、政治経済、今話題の渦中にあるBrexit、EUが取り組んでいる環境問題などをパリ政治学院の教授から学びました。EUの問題を当事国の一つであるフランスで学ぶことで、日本で学ぶのとは異なった視点から学ぶことができました。自分の知らなかったことばかりで、いかに自分の知識が不足しているか、何よりヨーロッパに興味を持って学んでこなかったかを痛感しました。そして、プログラム修了課題として、2500wordsのエッセイに取り組みました。私は、2017年フランス大統領選挙を念頭に置き、「フランスにおいて、ポピュリズムは再び台頭するか」というテーマでエッセイを書きました。十分とは言えませんがたくさんの資料を読み込み、課題に真剣に取り組んだのは初めてに近い経験でした。これまで、日本語でも英語でも長文論文に取り組んだこともなく、資料の集め方や論理の進め方など何も知りませんでした。そんな自分の実力不足を痛感できた、とても貴重な経験になったと思います。(⇒右の写真:学院の外観の様子)

・フランス語の授業

第二外国語としてフランス語を学んでいたため、intermediateクラス(beginnerとadvancedの間のクラス)で5回の授業を受けました。自分のこと、週末にしたこと、自分の将来などについて、自分の頭で考えて文を作り、相手に伝えるのが主な内容でした。日本では文法を中心に学んでいたので、新鮮でとても楽しく受講できました。また、先生からフランス語の単語のちょっとしたニュアンスの違いなど実践的なことを学べたり、フランスの文化を教えてもらったり、非常に有意義な授業を提供してもらいました。フランス語を今よりもさらに上達させたいと思え、モチベーションが高まりました。

・フィールドトリップ
プログラムのひとつとして、パリ政治学院のLe Havreキャンパス、そしてベルギーブリュッセルでのフィールドトリップに参加しました。Le Havreでは、テーマに沿って現地の学生とディベートを行い、意見を交換し合いました。現地学生はたくさんの知識、高い学習意欲を持ち合わせており、大いに刺激を受けました。アジア圏の留学生が多く集まるキャンパスだったので、また違う学びがありました。そしてブリュッセルのフィールドトリップでは、欧州対外行動局、欧州委員会、欧州議会へ見学に訪れました。EU機関を訪れる貴重な体験だったのは言うまでもなく、実際にその機関で働く人々から話を聞けたのはなかなかできない体験だったと思います。中でも、欧州議会の見学が最も興味深く、面白い講義を聞くことができました。この二つのフィールドトリップは、今後さらに詳しく学びたいと思える、良いインセンティブとなりました。
 
                         Le Havreでの一枚.jpg  欧州委員会.jpg  欧州議会.jpg

            (Le Havreでの一枚)        (欧州委員会)           (欧州議会)

【日常生活、観光】

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私の場合、ルームメイトが他大の子だったのですが、2人で協力して買い物や料理をしました。ホテルの近くだけでなく、学校の近くにもスーパーがあるので、食材には困りませんでした。みんなで鍋パーティーをしたこともいい思い出です。もちろん、自炊だけでなく外食もたくさんし、現地の料理を堪能しました。お店の人やほかのお客さんと話すことのできるチャンスでもあるので、ぜひ外食してもらいたいです。(⇒右の写真:お気に入りのカフェのキッシュ)

また、放課後や週末には観光を楽しみました。数人でエッフェル塔を見に行ったり、一人で美術館に行ったり、楽しみ方は様々です。王道どころへはもちろん、少しはずれたところにあるお店へ買い物にも行きました。なかなか行ける場所ではないので、いろいろなところへ行ってみると素敵な出会いがあると思います。

【まとめ】

全体を通して、自分が最も学べたことは、自分には足りないことがたくさんあると気づけたことです。知識や語学力はもちろんのこと、学問に対する姿勢もなっていないことを自覚しました。もっと真剣に学問に向き合わなければならない、そう気づけたことが、自分にとってとても大きい収穫であると感じています。また勉強だけでなく、自分の生活管理も行わなければならなかったので、そうした面でも成長できたと思います。限られた時間の中でやらなければならないことをこなしていくことで、時間の使い方をしっかり考えることの必要性を感じました。

 少しでも興味があるのなら、このプログラムに参加する価値は大いにあります。どんな形であれ参加者に刺激を与え、成長させてくれると、自信をもって言うことができます。

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(ノートルダム大聖堂からの一枚)

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