シドニー大学春季講座 体験談7

体験談7 2017年度参加 法学部4年 K・Hさん

【一日の様子について】

平日は午前、午後に各々の授業があり、午後の授業後や週末を使って観光等を楽しむというのが1週間のスケジュールであった。授業内容は、プログラムの前半では、テキストに沿って論文の書き方やグローバルビジネスの基礎的な部分に関しての講義、プログラムの後半では、科目担当者による多様なフィールドワークを含む、マーケティング、異文化理解等の講義をオムニバス形式で展開していた。講義は、先生や授業内容にもよるが大枠は掴める程度に把握出来た。ホームステイ先では、基本的に夕飯をホームファミリーと過ごし、それ以外の時間は宿題や、テレビでラグビー観戦、近くのスーパーに一緒に買い出しに行った。私の場合は、夕飯を食べながら、その日の出来事や、日本の文化の説明、ニュースの特集で取り扱われていた中国事情に関する話などをした。

【空き時間の過ごし方について】

平日は、お昼が90分近く設けられているので、広いキャンパス内に設けられているカフェでランチをしたり、散策、キャンパス内の博物館に足を運んだりした。授業後は、オペラハウスを見学・鑑賞、大学周辺の散策、夜景を見に行ったりした。週末は、モスマンに行き、クリケット観戦、タロンガ動物園見学、ブルーマウンテンに足を運んだりした。個人的には、海の絶景を眺める事が出来、現地人と容易に会話が楽しめるシドニー郊外の、L94バス終点ラ・ペールズを推奨したい。計画を効果的効率的に立案するためにも、過去の体験談を一読したり、ガイド本を持っていると便利であった。

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(オペラハウスとハーバーブリッジ)

【参加理由・事前準備について】

本講座に応募した理由は、①本講座が唱っているグローバルビジネスマネジメントに強い関心があった②学生という身分の最後の節目として、異国で勉強がしたかった(特に英語の総合的な上達)③異文化体験・理解であった。私は、留学前に、事前配布資料を査読し、経営学のバイブル的存在である、マイケルポーター著、競争の戦略を読破しまとめプリントを作成、簡単な英語表現を少し暗記した上で臨んだ。現地では、英語の上達は主体的に行動しないと難しいと認識していたので、努力目標として、講義では最低3回発言する、あらかじめ質問を考えて積極的に先生に聞く事を心がけていた。また、異国の地に、ある程度の期間、滞在する事になるので、体調管理はしっかりと行いたい。

【失敗談など】

米国の元国務長官コリン・パウエルは伝えたい教訓の一つとして、「なにがまずかったのか、自分はどういうミスをしたのかがわかったら、それを教訓として前に進む。人生はフロントガラスの向こうを見ながら進むべきで、バックミラーを見てはいけない。」と言及している。

実際に、私は今回の研修を通じて様々な失敗をした。例えば、ホームステイ先で、basとbathを聞き間違えた。現地人との会話の中で、日本について聞かれ、東京オリンピックが2020年に行われると説明したかった際に、take the placeという単語が出てこず、とっさにoccurという表現の固い単語を使ってしまった。ミスにはならないが、根本的に実力不足で相手の言っている事が聞き取れないという事もあった。RBA(オーストラリアの中央銀行)では、政策金利、銀行の役割といった概念を専門用語を用いて容赦なく説明するので、半分程しか理解できなった。

犯したミスは数知れないが、日本人で内部生だから出来なくて当たり前と開き治り、臆する事無く英語を使った。多分この体験記を読んでいる方は、こんな初歩的な事も出来ないのかと思われるかもしれないが、筆記のテストと異なり、瞬時に理解して、発言する必要があるので、意外と難しい。大事なのは失敗したミスと同じミスを繰り返さない事であろう。

【今回の経験を通じて】

主体的に動けば、様々な(英語の上達、異文化理解、レベルの高い参加者との交流による刺激などなどの)経験が出来るという事であった。

驚いた事の一つとしては、マクドナルドにブラックのアイスコーヒーがメニューとして表記されていない事であった。ブラックのホットコーヒーがあるならアイスもあるだろうと思ったのもつかの間、店員に一生懸命、英語で「無糖のアイスコーヒーが欲しい」と繰り返し説明し、やっとの事で理解してもらえた。コーヒーを作ってもらっている際、店員に「こんなコーヒー注文するお客さん、あんたらが初めてだよ」と苦笑いされながら、会話が弾んだのは今では良い思い出である。

Oweekで仲良くなったシドニー生とのBBQ.jpg

一方で、最も悔しかった事は、新歓期間に仲良くなった現地大学生(その内2人は、非英語圏出身)と後日BBQした際に、会話の半分も理解出来ず、自分の実力不足を痛感した事であった。別れ際に「十分通じているから大丈夫だよ」と慰めてくれたが、自分より年下にも関わらず、母語語に加えて英語も流暢に喋れる事に、羨ましさと同時に今度会う時には、もっと会話を楽しめるようになりたいと強く思った。この体験は、0weekの時に、様々な団体に一人で、積極的に片言の英語で話しかけ続けたからこそ得られたチャンスであったし、一番英語が上達していた時かもしれない。(⇒右の写真:Oweekで仲良くなったシドニー大学生とBBQ

【本講座を振り返って】

リーダシップの講義で、「人間には必ず弱みはあるもの。自分の長所を見つけて、伸ばして行く事が必要である。」との説明を受けた。私の場合は、英語がスラスラ喋れないし、発音も日本語なまりで、文法も怪しい。しかし、隣の芝生は青く見えるという言葉があるように、他人と比較ばかりし、無いものねだりをしても始まらない。自分の長所は本人も十分に把握出来ていないが、積極的に行動できる事、愚直さ、日本で絶対に見せない意外性のあるボディーランゲージが強みなのかと3週間を通じて感じた。完璧な文にしなくても、ボディーランゲージを使用する事で補う事が出来る。わからなくても「Sorry, I’m not good at English because I’m Japanese.」や「What do you mean?」と伝えれば、オーストラリア人はフレンドリーなので丁寧に説明し直してくれる。私の場合は、現地での失敗を経験して、会話で困らないように複数の写真や簡単な自己紹介のスライドを用意したり、日本の文化を説明するスクリプトをあらかじめ暗記して、会話で失敗するリスクを軽減させた。

最後に、ゲストスピーカーでご講演頂いたdoqの設立者は、“Learn today and apply immediately, or you’ll be forget.”とシンプルながら核心のついたアドバイスをくださった。失敗、出来なかった悔しさこそが向上心への強い動機付けとなる。いかに”Passion”を持続させるか。本プログラムを通して、そもそも、何に対しての”passion”なのか、その目標に対してどうするべきなのか、参加者各々の目的は違うにしても、主体的に行動すれば、そのヒントが見つかるのではないだろうか。

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(講座参加者との集合写真)

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