パリ政治学院春季講座 体験談18

体験談18 2024年度参加 法学部1年 M・Tさん

【はじめに】

私は、QS世界大学ランキング政治分野3位のパリ政治学院(以下SciencesPo)へ短期留学できるこのプログラムへ参加することを大学入学前から待望していました。このプログラムでは、EUの組織・価値観・構造の知見を深めることや、フランスの文化を観光時と比べより交流できる点、今まで学習してきた英語とフランス語を活かし学習できる点、他大学の学生と交流できる点から、このプログラムへの参加を決意しました。

一ヶ月という短い期間ですが、このプログラムを終え、自身の将来の進路、学習への姿勢において大きな刺激になったと考えています。

それに加え、EUについて学びたい、英語とフランス語を活かして学習したい、フランスの文化に触れてみたいという生徒以外でも、海外留学とはどういうものか、海外大学での学習環境はどのようなものか、一人で留学することに抵抗がある人でも、参加できる講座なので、強くお勧めします。

この体験談はあくまで、2024年度の情報なのでご参考でお願いします。

【カリキュラム(2024)】

1.授業

a.核授業

フランスに渡航前に各教授からmoodle(K-LMSのようなシステム)に予習文献などがアップされます。それを読んでから講義を受けることにより、容易に英語でEUを理解し、知見を深めることができます。

今回は、ほとんどの場合授業前にスライドが配布されるため、メモをとりながら講義を受けることができます。早口な先生や強いアクセントがある先生がおり、リスニングに自信がない人は苦労するかもしれませんが、単純な質問であれ先生はきちんと何度でも説明してくれるので心配はしなくても大丈夫です。それでも腑に落ちない場合は、周りの仲間に聞けば、喜んで答えてくれます。

この核授業では、EUの歴史、機関、組織、法律、環境への取り組みを学習します。

b.選択授業


選択授業は二つあります。EUの内政や経済をより深く学習する「Inside the Union」と、EUと外国においての政策などを学ぶ「EU and the World」です。
Inside the Union
EUの環境への取り組み
EUの経済危機
EUのジェンダー問題への取り組み
EUのポピュリズムと人種差別
EU and the World
EUの外交・防衛政策
EUの貿易政策
EUと移民
EUの環境への取り組み

c.TA セッション

このセッションでは、ティーチング・アシスタント(TA)により、とてもわかりやすく核授業や選択授業の内容でわからなかったことや、全体の復習を行います。なので、講義中に全て理解できなかったと心配はしなくても大丈夫です。またTAと一緒にSimulation Game やテストへの準備もまたとてもわかりやすくしてくれます。

d.Simulation Game

このSimulation Gameとは模擬国連のようなもので、今回は「ウクライナの平和に関する特別サミット」というトピックについて議論しました。皆で各アクターに分かれ(EU委員会、EU外交安全保障上級代表、ウクライナ、ロシア、フランス、ドイツ、アメリカ、中国)議論します。この模擬サミットでは、仲間とこれまで学習したEUに関する知識を使い、英語で議論することができる場です。

e.テスト

プログラム内で2回テストが行われます。2週目のテストは、選択肢方式で行われ、この結果によりプログラム全体の合格か不合格かが決まります。また、このテストでは、核授業の内容だけを扱います。毎年、テストが不合格になる人はいないので、いつものテストのように勉強すれば大丈夫です。

最終週のテストは、論述問題であり核授業と選択授業の内容から主題されます。

f.フランス語授業(任意)

フランス語の授業は、初級と中級の二つのレベルがあります。1番最初に行われるプレースメントテストについて心配する必要はありません。面接や紙でのテストではなく、先生と皆で会話をし、先生が皆のレベルを把握するための場であると考えてくれれば大丈夫です。

私は、中級レベルの授業に登録しました。SciencesPoのある地域を先生が歴史や文化を説明しながら回る授業もありました。このツアーは全てフランス語で行われますが、皆が分かるまで言葉でゆっくりと説明していただけます。このツアーのおかげで、SceincesPo近くの地域の歴史や文化への知見を深めることができました。このツアーでは、サン=ジェルマン=デ=プレやパンテオン、ルクセンブルク公園などを巡りました。

2.文化的活動


a.セーヌ川ボートツアー
b.オペラ・ガルニエ見学ツアー
c.UNESCO日本大使見学ツアー
d.ベルサイユ宮殿見学ツアー
e.SciencesPo生徒との交流会
f.SciencesPoで開講される日本語クラスの生徒との交流会

3.ブリュッセル訪問

このブリュッセルへの訪問は、1泊2日であり、約2時間のユーロースターでの移動です。欧州議会や、欧州理事会、欧州対外行動庁、駐ブリュッセルEU特別日本大使へ訪問します。最後の二つの訪問は、どちらかを選ぶ形となります。それぞれの訪問では、講義で習ったEUを自分の目で見ることができ、EU機関の下で働いている人々からの観点のお話をお聞きすることができ、とても胸が高鳴る貴重な経験をしました。1日目は自由時間が多く、私はブリュッセル観光(ワッフルとポテトフライは絶対試してください)をしましたが、他のEU機関のvisitor centerに訪問することができます。(ブリュッセル訪問前に要予約)

【日常生活】

1.宿泊施設

今回2024年度のプログラムでは、「Aparthotel Adagio」という長期滞在のためのホテルに宿泊しました。とてもホテルの立地がよく、部屋からエッフェル塔が見え、セーヌ川の真横に位置しています。また、徒歩5分圏内にスーパーや美味しいレストラン、カフェ、パン屋、複合型商業施設(ユニクロなどが入っています)が点在していることから衣食住に困らないとても充実している位置にあります。公共交通でも、メトロの6番線と10番線があり、バス停もたくさんあります。

部屋には、キッチンや冷蔵庫がありとても充実しています。また、ホテルには、ロッカールーム、洗濯部屋(洗濯:7€、乾燥:4€)、会議室などがあります。また朝食ビュッフェ(19€)で食べることができます。

しかし、2・3月のフランスはとても乾燥しているので、小さな加湿器や湿度を高める措置をとった方がいいと思います。

2.食事

もう本当に食事はとても美味しいです!!しかし、このプログラムでは食事が含まれていないため、自分で料理をしたり、どこかで食事をしなくてはいけません。なので自炊をすることはとても楽しく大事ですが美食の国フランスの料理を存分に楽しんでください!

平日の昼食としては、SciencesPo内にある簡単なサンドイッチやパンを提供する学食があります。私自身はResto-Uという共有食堂を強くお勧めします。この共有食堂は、パリ政治学院の生徒だけでなく他大学の生徒が使っています。そしてなんと、前菜・メイン・デザート・パンを自分で選ぶことができ、3€30¢で昼食を取ることができます!フランスの家庭的な料理をとても美味しく食べられます!とてもRestro-Uは、現地大学生の中でもとても人気なので、12:15前につかなければ席を確保することが難しいかもしれません。

ホテル近くにMONOPRIXというスーパーがあり料理に必要な食材や調味料を揃えることができます。また、少し高いですが、KMARTというアジアの食材を取り揃えているお店もあるので、日本から食材を持ってくる必要はないと思います。

3.公共交通機関

プログラム初日に、運営側の方々と一緒に定期券(一ヶ月、1週間)を購入するので、言語の壁について心配することはありません。また、この定期券はメトロだけでなく、バス、高速鉄道RERといった他の公共交通機関のために使用することもできます。なので、この定期券ひとつでパリ市内、近郊への観光は大いに役に立つことができます。安全な移動をするためには、リュックサックは前に背負い、前ポケットにスマホと財布を入れてください。


しかし、注意して欲しいこととしてパリのメトロは日本のものと大いに異なります。
・電車のドアが自動で開くことが増えているが、手動で開けなければいけないタイプも残っている。ハンドル式とボタン式の二つのタイプがあります。
・トイレはないです。
・ドアごしでスマホなどをいじると、盗まれてしまうかもしれません。今回、誰も盗まれませんでした。
・ほとんどの場合、メトロやバスは夜遅く乗っても安全です。
・自動販売機があります。

4.治安

比較的安全です!でも歩きスマホやイヤホンはやめた方がいいです。外出する際は、最低限にしてください。財布の中には、SciencesPoの学生証、クレジットカード、40€ほどの現金が良いと思います。


●用事がなかったら避けたほうがいい場所
・18区、19区、20区(パリの北東地域)
・Les Halles 駅

5.キャンパス

歴史を肌で感じることができるキャンパスで講義や人々と交流できることから、とても刺激的な環境で一ヶ月過ごすことができます。例を挙げると、図書館だけでなく皆が使える勉強スペースが内外関係なく至る所に設置されていることや、パリの中心地にあるのにも関わらず庭が多くあります。そして、SciencesPoは、政治的機関が多く置かれているパリ7区にあります。

キャンパスが日本のように一つにまとまっていなく、パリ7区に散らばっています。なので、講義前に教室を把握し、時間に余裕を持って通学することをお勧めします。

【Tips】

1.奨学金

このプログラムでは、家庭の収入制限があるものとないものと、二種類の慶應義塾大学奨学金制度がありました。なので、諦めず留学をする際の資金集めをすることをお勧めします。

2.SciencesPo Buddy Program

このシステムは、SciencesPo生徒とマッチングし、よりフランスの文化だけでなく、フランス同年代の文化と触れることができるので絶対登録した方がいいものです。私は、buddyがいたからこそ、パリ政治学院の歴史や文化を知ることができ、学生が集まるレストランやカフェを巡ることができました。プログラムが終わった後も、WhatsAppを通じて連絡を取り合っており、一生の関係を築くことができるので、強くお勧めします。

3.夜行電車の活用

私は、最初の週末にマルセイユへ夜行列車で訪れました。夜行列車は、TGVなどの他の交通機関よりも安価で使用することができ、寝ていたら目的地に着くというものです。寝ている間の荷物の心配はいらないですが、高価なものは持って行かず、必要最低限のものだけを持っていくことをお勧めします。私は、金曜日の夜に乗って、土曜日の朝にマルセイユの方に到着しました。日曜日の夜に夜行列車に乗ってパリに帰ったため、新鮮な気持ちでマルセイユを二日間観光できたことから強く夜行列車をお勧めします。


4.金銭&支払い

・AMERICAN EXPRESSのカードが使えるところがとても少ないので、VISAやMASTER CARDなどを持っていくことをおすすめします。
・チップなどを置く場合に現金がとても使いやすいので、現金は200€ほどが良いと思います。


5.持って行った方がいいと感じた物
・ハンドクリーム、リップクリーム
・お箸(5膳ほど)
・エコバック(スーパーなどでは袋が有料であり、それ以外の使い道があるため)
・常備薬(バンソーコー、マスクなども)
・ドレスコードに沿った洋服(ドレスコードがあるイベントやレストランがあるため)
・シャンプー、コンディショナー、ボディーソープ
・アルコールワイプ
・アダプター
・折り畳み傘やレインコート


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(ブリュッセルのEU議会ホール)        (宿泊したホテルの部屋)
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(夕方のエッフェル塔)      (モンパルナス駅前の市場)
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(SicencesPoの校舎)
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(Restroom-Uの様子と食事)

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