パリ政治学院春季講座 体験談9
体験談9 2015年度参加 経済学部2年 T・Nさん
“この講座に参加することで、旅行するだけでは見えないヨーロッパの視点が見えてくると思います。”
【授業について】
最初の一週間は必修コースでみんなが同じ授業を受けます。ここでEUに関する基礎、例えばEUの形成に至る歴史、ヨーロッパのアイデンティティーとはどのようなものか、ギリシャ危機などについて学びました。2週間目以降はそれぞれが希望する選考に別れて授業を受けます。3つの専攻、経済、政治、移民から2つを選んで授業を受けるのですが、同じ時間に2つの授業が開講されることがなかったので僕は3つの専攻授業にほぼ全て出席しました。授業がない空き時間にパリの街を観光するのも良いと思いますが、パリ政治学院が提供する授業をこれから先に受ける機会はなかなかないと思いこのように3つの専攻に出るようにしました。印象的だった授業はギリシャ危機に関する授業とヨーロッパの資本主義経済の違いでした。ギリシャ危機については政治的な側面からの分析と経済学的な側面からの問題の分析でした。またヨーロッパの資本主義の違いについての授業では、イギリス、フランス、ドイツなど一見すれば同じような資本主義形態をとっており、なおかつEUという巨大な単一市場にぞくする国々でありながら異なる資本主義の性格を持っていることが理解できました。また日本との比較なのですが日本の資本主義形態も世界から見て特異なものであることも理解できました。
(パリ政治学院の校舎)
ある程度の予習をしてからこの講座に臨まれることをお勧めします。もちろん EUの編成に至る歴史、EUの政府機関の働きについて、例えば欧州理事会、欧州議会、EU理事会、欧州委員会、欧州対外活動庁(今回のフィールドワークでこちらの職員の方のお話をうかがいました)についてのそれぞれの役割等をさっと予習するだけでも授業理解度が異なると思います。僕の場合少し目を通しただけなので、いざ授業となると苦労しましたが一から丁寧に教えていただいたため、なんとか理解するとこはできました。また余裕があったらヨーロッパのどこかの国の歴史、その国がEUにどのように関わり編入をしていったかを知っておくとさらに面白いと思います。やはりフランスにある学校なので先生方がEUの歴史を語るにしてもどうしてもフランス目線になります。僕はベルギーに興味があり講座が始まる前にベルギーのECSCに加入する過程やEU本部がブリュッセルに置かれることになった経緯を頭に入れていきましたが、やはりお国が違えば歴史観も違うということを痛感しました。予習する国はフランス、ドイツ、イギリス、イタリア、ベネルクス、どこでもいいです。どこか知ることで多角的に物事が見ることができると思います。
【休日の過ごし方について】
休日はパリ市内で多くの時間を過ごしました。学生証で美術館は無料で入れますので多くの美術館に足を運ぶことができました。ルーブル、オルセーなどなど芸術の都パリで至福の時を過ごせました。また個人で、一泊二日でベルギーのアントワープ、ブリュッセル、ブリュッヘに行きました。ThalysというTGVに乗りベルギーまで行ったのですが、日本の新幹線の車窓の雰囲気とは全く異なります。広がるのは穀倉地帯。そして都市の外部にある森。(ブリュッセル近郊で森を見ることはできませんでしたが、その名残かブリュッセル近郊の駅の名前に”Forest”という駅があります。このような視点からでもいかにヨーロッパが森と農業と切って切り離せない関係にあるのかがわかりますよ。
(ノルマンディーの海岸)
②Bruxelle: こちらは一泊二日のフィールドワークです。EU本部の見学や欧州対外活動庁の役員の方のお話を聞く機会があります。またこの時にEUの職員の方に授業で疑問に思ったことなどを質問でぶつけることができます。非常に有意義な時間でした。また午後にはブリュッセルの街を観光することができます。とても小さな街ではありますが、非常に見所のある街です。ナポレオンがルーブル美術館からよりすぐった絵画がベルギー王立美術館にあり、また併設されているマグリット美術館ではとても“シュール”なひと時を過ごせると思います。