オックスフォード大学リンカーン・コレッジ夏季講座 体験談1

体験談1 2007年度参加  商学部4年 R・Fさん

【オックスフォードのある一日】

『朝』
起床、さっと身支度を済ませる。自分のドライヤーを2日目の朝に壊してしまい、以後、毎日隣の部屋のK君からドライヤーを借りる。朝食を取りにラウンジに行き、シリアル、パン、コーヒーで頭と体を始動させる。


『午前授業』
前日の授業で、先生から与えられたトピックについてディベートをする(4人1組のチームで、その中でさらに、2人1組に分ける)。今日の相手は、2人とも年下。負けることは、沽券に関わるので、なんとしてでも勝たねばと心に誓う。そして、判定は・・・。ディベートが終わると、オックスフォード大学の教師によるオムニバス形式の講義。内容は中世イギリス史なのだが、矢継ぎ早に考えさせる質問を投げかけ、知的好奇心を駆り立てる言葉の巧みさに感嘆する。

講義の後は、翌日のディベートのトピックが出される。そして、チームごとに分かれ、オックスフォード大学に通うTAから自分達のトピックに関する知識を得るのと同時に、積極的に納得するまでTAに質問して、理解を深める。その後、要点をまとめ上げ、明日に備える。

 

『昼』
今日は、昼食が用意されている日なので、朝食を取ったラウンジで昼食を済ませる。まだ時間に余裕があるので、街に繰り出し、メンバーと談話に興じつつ、しばしの休息を満喫する。


『午後授業』
Play(演劇)の授業。午前の授業がアタマの運動ならば、午後の授業はカラダの運動である。今日は、まず、体をほぐすための簡単なゲームを行い、次に、「ベニスの商人」の1シーンをチームごとに与えられ、各々でスキットを考える。先生からのアドバイスも受けながら、試行錯誤の末に、完成。それを、他のチームと披露し合う。最初は、羞恥心もあったが、慣れればなんとかなるものである。
『夜』
今日の晩ご飯は、寮で用意されないため、自分達でオックスフォードの街を散策しがてら、適当な場所を探す。支払いのときに、ポンドは高すぎると嘆く。
食後のデザートとして、メンバーの何人かを引き連れて夜のオックスフォードを堪能する。具体的には、寮の近くにある、かの有名な「ロード・オブ・ザ・リングス」の製作者もよく通ったとされるpubに行く。そこでは、お気に入りのマリブコークを注文し、終始様々な話題で盛り上がる。その後帰宅し、明日のディベートの勝利を祈願しつつ、酔いが冷めやらぬうちに、就寝。

 

【休日の風景】

ロンドン観光を敢行。
イギリスは、初めてだったので、休日は首都ロンドンに行こうと予てより決めていた。メンバーの中で、同じ境遇の人達も何人かおり、ロンドンには合計、7、8人で行くことになった。ところが、休日は、2週間のプログラムのうち、一日しかなかったため、その日のうちに、ロンドンを観光して帰る必要があり、時間的に大変だろうと感じていた。
当日、早朝のバスに乗り一路ロンドンへ。到着後すぐさま、目まぐるしく色々な観光名所巡りを開始した。帰りのバスに乗車するまでに、主要な観光名所を網羅できたのだが、終日、ロンドンの地下鉄は一切使わず、自分達の足でロンドンの街中を歩いた。それは、今になって思えば、まさしく「行軍」という言葉がぴったりだろう。しかし、その分、ロンドンの昼夜の街並みや景観をくまなく見物できたので、結果としては、良かったと思っている。
休日の過ごした方の例として、ロンドンの他にも、オックスフォードに残って市内観光をしたり、コッツウォルズ地方へ出掛けたりと様々であった。

【オックスフォードのススメ】

最大のススメは、「語学研修」ではなく、「文化研修」という点である。
本プログラムは、単に現地に赴き現地の人間と触れ合うことで表面的な語学能力の向上や文化交流を図るものではなく、「アタマとカラダ」の両方を駆使する文化吸収型プログラムと位置づけることができるだろう。

アタマの例として、オックスフォード大学の教師陣による講義では、ただ受講するのではなく、頻繁に質問を受けることで、自分なりの考えを導き出す必要がある。さらにディベートにおいても、論理的かつ感情に訴える言葉を主張しなければ聞いている人には伝わらない。つまり、受動的な立場ではなく、主体的に関わっていく姿勢が求められるのだ。

カラダの例としては、play(演劇)が挙げられる。物事全般に言えることだが、「みる」のと「やる」のとでは、まるで違う。本プログラムにおいて、実際に午後の授業で行われる題材に則した劇を観る機会もあるが、授業で、イギリスを代表する作家、シェイクスピアの作品などを基に、チームごとにスキットを創っていく。そうすることで、「みる」だけでは感じることができない、言葉を伝える難しさや言葉の重さを「やる」を通じて体感できるのだ。

本プログラムに参加することで、「アタマとカラダ」の両方で価値観、思考、手法などイギリス流またはオックスフォード流の「文化」の吸収が十分にできる。よって、本プラグラムでは、語学研修という枠を超えた、より深い文化研修を求める人には有意義な時間となるだろう。

 

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